厚労省の2006年度労働者派遣事業報告によれば、派遣労働者数は321万人(登録、日雇い型を含む)、派遣事業者数は4万2千弱に上っているのに対して、労供組合の数は百足らずで組合員数は1万人に満たない。こうした桁違いの格差を生み出した主な原因は、原則禁止、労働組合のみ例外OKという職安法で規制されていた労供事業が、1985年の派遣法制定によって合法化されたからです。

悪法も法なりといいます。まして派遣先企業にとって使い勝手、使い捨て放題という労供事業が合法化されたわけで、当初は例外的、臨時的な専門性の高い職種に限定していたものが、規制緩和の下で次から次へと改悪されてきたことは周知の通り。2008年度に発表された東京労働局の資料によると、2006年度の東京における一般派遣料金は、8時間換算で18822円に対して、賃金は12953円となっています。つまり平均約30%が経費となっているのです。この差額の5869円には、通常の会社であれば、社会労働保険などの法定福利費の事業所負担分が14%弱、約2635円。労働者が使う食堂、トイレ、作業着、ロッカーなどの必要経費の実費分を差し引いて利益を出すことになります。

しかし、日雇い派遣でぼろ儲けをしていたグッドウイルやフルキャストの場合は、派遣契約では一定の有期契約の中に必要とされる福利厚生費や諸経費を潜り込ませながら、ネット上で登録させた数万人もの登録・日雇い型労働者を日々契約で派遣していたのです。しかも、社会労働保険をかけずに、作業着も使用料を取り、トイレ、ロッカーなどの設備費の事業者負担を限りなくゼロに近づけて40から50%純益とするやり方がまかり通っていたのです。更に、その賃金から事務手数料などの名目で200円ないし300円を取っていたというのだから、まさに濡れ手に泡の日銭が入る構造だったということです。

これでは戦前の「組」やたこ部屋以上の悪どい搾取だとして禁止されても当然でしょう。というのは、多くの問題を抱えていた戦前の「組」でも、仕事のないときには組員に小遣いを渡して生活の面倒を見なければならなかったといいます。また、法律的にも戦前の工場法などでは、請負や労務供給であっても事故や労災などについては就労先の事業所に使用者責任を負わせていたのです。

要するに、改めて派遣法の根本的な問題を整理すると日雇いも含めた間接雇用の需要が、戦前から今日まで、更に未来においても根強く存在する中で、労働者保護の基本に立った法律になっていないということです。つまり、派遣元の雇用する側に社会労働保険を含めた派遣労働者のセイフティーネットをきっちりと負わせていない。そして派遣先の使用する側に使用者責任としての事故、労災補償などの義務付けがされていない。そうした雇用者と使用者の労働者に対する無いない尽くしの無責任体制が、双方の利益第一主義と相まって、多くの低賃金、不安定、無保険という日雇い派遣労働者を生み出し、使い捨てにしてきたということなのです。